GDP：定義、種類、歴史

国内総生産(GDP)とは

GDPとは、特定の国で生産され、市場で販売される全商品やサービスの金銭的価値の総和を表す経済指標を表します。 GDPは、その国の国内総生産量を測定するために使用されており、それは国の全体的な経済パフォーマンスに直結します。 GDPは、年間の経済生産高を示す指標として最もよく引用されていますが、四半期ごとの経済進歩を計算するためにも使用されます。

GDPは、消費、投資、資産入れ替えなど、国内で生産される全製品を対象にしています。 GDPには、外資系企業の国内生産品も含まれています。

GDPの歴史

GDPに似たマクロ指標を実現しようとしたのは1700年代ですが、現代の国内総生産は、1934年にアメリカの経済学者サイモン・クズネッツによって提唱されました。世界恐慌を克服し、経済への悪影響を抑えるための政府による施策が盛んに行われる中、その成果を測定する必要性が出てきました。クズネッツは、アメリカで生産される全商品やサービスを測定するというアイデアを導入しました。ですが、アメリカで、GDPが正式に採用されたのは、その10年後のブレトンウッズ会議からでした。

サイモン・クズネッツは、GDPを経済全体のパフォーマンスを測定するための金字塔（GDPの上昇と下降）にするまでに、長い時間を要しました。そしてその後、全世界がこの尺度を採用し始めました。測定の完成度を高める努力は今も続いています。

GDPの種類

GDPは、その国の経済発展を詳細に把握することはできません。 GDP自体は、経済が成長しているかどうかを示すことしかできません。しかしながら、その国の生活水準や、経済成長がインフレの上昇に対抗できるかどうかについては、あまり明らかになっていません。より高解像度のデータを提供する上で、GDPには複数のサブタイプがあり、他の関連指標も異なる経済見通しを提供しています。

名目GDP

名目GDPは、インフレを考慮しない現在の価格により、その国の経済パフォーマンスと全体的な生産高を評価しています。物価上昇を考慮しない場合は、指標は実際よりも膨らんだ成長を示すことになります。なので、名目GDPは、主に連続する四半期の経済成長を比較する上で使用されます。異なる年のアウトプットを比較するための指標は、実質GDPとなります。

実質GDP

実質GDPは、インフレを考慮した上で、ある年の国の経済活動を測定するために使われます。名目GDPでは、インフレがデータに干渉し、国の経済生産高が増加したように見えます。しかし、実際にはまったく同じ、または減少している可能性もあります。

実質GDPの場合、経済学者は基準年を決めて、その年の生産高を基準年の物価水準に合わせます。実質GDPを計算するには、エコノミストがGDP価格デフレーターを使用します：現在の年の価格と基準年の価格の差。これによって、インフレが経済に与える影響を計算から除外して、実質的な経済パフォーマンスを前年比で確認することができます。

国内純生産

国内純生産（NDP）も、一国の経済生産高を測る経済指標の一つとなっています。しかしながら、GDPとは異なり、劣化した工具、機械、住宅、車両など、生産維持をするために必要な費用の更新や買い替えが考慮されています。

NDPは、全体GDPからこれらのコスト（減価償却費）を差し引いて算出されます。 NDPは、国の経済パフォーマンスが、現在の生産レートを支えるために費やさなければならない資源をカバーしているかどうか、という情報を提供するべく、より詳細であると見なされることが多いです。

潜在GDP

経済学者は、ある経済が利用可能な全資源を最も持続可能なレベルで使用した場合に、どれだけの生産が可能かを推定する必要がある場合、潜在GDPを計算します。潜在GDPは、現在の経済生産高を比較するベンチマークとして使用されています。これによってエコノミストは、国の経済が弱い需要と供給の水準にあるか、あるいは総需要が総供給を上回り、インフレにつながる可能性があるか否かを確認することができます。潜在GDPは、政策立案者に経済生産の改善策を示すものです。

一人当たりのGDP

経済学者は、現在の経済パフォーマンスと国の人口との関係を見るために、一人当たりのGDPを計算します。この指標は、国のGDP総額（名目または実質）を総人口で割ることによって測定されます。

これは、国の経済生産の価値のうち、どれだけ国民一人に帰せられるかを示しています。この指標は、その国の国富、一人当たりの平均所得、労働生産性、生活水準を判断するために使用することができます。

GDP成長率

GDP成長率は、国のGDPがその前の期間と比較し、どのように変化したかを測定するものです。これは、エコノミストや政策立案者が、経済成長スピードや懸念事項の有無などを把握するのに役立っています。

GDP成長率で、ある経済が不釣り合いに急速な成長をしている場合、それは差し迫ったインフレを示しているかもしれません。その一方で、GDP伸びが鈍い、またはマイナスであれば、景気後退前に、当局が経済を刺激する必要があるかもしれません。

購買力平価(PPP)

購買力平価（PPP）とは、各国の経済状況を比較するために用いられる指標です。 PPPを計算するために、エコノミストは特定の商品バスケットの価格を1つの通貨に変換して比較します。 PPPとは、物価の比率のことを表します。この指標によって、経済学者は、各国の経済生産高と生活水準の違いを分析することができます。

GDPの計算方法

GDPの算出方法には3つのアプローチがあります。

所得アプローチは、国民総所得（賃金、家賃、利子などの利潤）と消費税に加えて、資産の減価償却費や海外からの純所得受取（自国外を含む全国民が生み出す総所得と自国内のみで得られる所得との差）を加味して、GDPを測定します。
支出アプローチは、経済に参加する全国民の計算された支出に焦点を当てます。これには、個人消費、政府支出、投資、純輸出（国の総輸出額と総輸入額の差）が含まれます。
生産アプローチでは、国の経済生産の総価値を生産時に算出して、生産過程で使用される中間財（材料や資源）を差し引いたものです。

国内総生産の使用方法

GDPは、主に国の経済パフォーマンスを測るために使用されます。しかし、GDPが提供するデータは、経済の範囲にとどまらずに、多くの実用的な応用が可能です。

GDPは、政府や政策立案者が経済の現状やお金の流れを分析し、将来の傾向を予測、国の金融政策を変更することによって、経済発展の軌道に影響を与えることができます。
GDPは、企業経営者にとって有益な情報源となります。経済の健全性と成長率を知ることにより、潜在的な後退を相殺するためにビジネス戦略を調整することができます。
GDPデータは、トレーダーや投資家にとって、有益な情報を提供してくれることでしょう。 GDPが急速な経済成長を示した場合、トレーダーは金利上昇を期待することができ、その結果、通貨高を引き起こします。そして、世界で最も高い通貨に興味を持った、FXトレーダーにより多くの取引機会を提供しています。それとは逆に、景気が悪くなると金利が下がり、結果的に通貨価値が下がる可能性があります。

GDPのデメリット

GDPは、経済生産の究極の指標ですが、いくつかの欠点があります。

GDPは、ボランティアや内職などの国全体の経済パフォーマンスに大きく貢献しうる、記録されない経済活動を除きます。
GDPは、経済が持続可能か否かを判断する上で重要な要素な福祉や国民の幸福度を考慮していません。
GDPは、生産量が多くて起こる環境破壊は含まれていません。それ自体は、生産が長期的に持続不可能であることを示す重要なサインです。
GDPは海外企業の収益をカウントしていないので、製造国の実際の経済生産高を過大評価することとなります。
最終財の生産のみに焦点を当てているので、企業間の中間消費に関わる経済取引は考慮していません。

新指標の作成も行われていますが、GDPは今でも経済パフォーマンスを示す最も信頼できる指標のひとつとされています。メートル法は、現在も世界各国で使用されています。

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2023-04-21 ・更新

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よくあるご質問

GDPの簡単な定義

GDPとは、国で生産・販売される全商品・サービスの価格の合計を算出することで、その国の経済活動を測る指標です。
GDPが最も高い国はどこか？

現在、GDPはアメリカが世界一となっており、中国、日本がそれに続いています。
GDPが高いのはいいことか？

GDPが高いということは、経済が上手くいっているということです。しかしながら、GDPが急激に増加しすぎると、インフレになり物価が上昇する可能性があります。