2023-05-29 ・更新

トレーディングにおけるギャンブル心理

多くの人がトレーディングを始めるきっかけは、簡単に稼ぐことができると思うからでしょう。トレーディングをゲームのように扱い、ギャンブル心理に陥ってしまうのです。この記事で、ギャンブル心理学とは何か、それがどのように取引に影響を与えるか、その回避する方法について学んでいきましょう！

要点

ギャンブル心理とは、トレーダーがよく考えずにどんどん大きな取引をしてしまうことである
ギャンブルは技術や知識を必要としない点で、トレーディングとは全く異なるものである
ギャンブル感覚でトレードをすると、必然的に損失がかさみ、口座がすっからからんになってしまう
ギャンブル心理をもたないために、トレーダーは慎重に取引を研究し、厳格な取引戦略を持つ必要がある

ギャンブル心理とは

ギャンブル心理とは、ギャンブラーに共通する考え方です。ギャンブラーは、ゲームのランダム性にお金を賭け、お金を増やそうとします。ゲームの勝率を気にすることなく、その背後にあるメカニズムを学んで必勝法を編み出すこともしないでしょう。

ギャンブラーが気にするのは、リスクによる興奮とアドレナリンの分泌です。もちろん、時には勝つこともあり、彼らの博打的なアプローチが報われることもあります。しかし、多くのギャンブラーは、何度もギャンブルを繰り返していくうちにお金を失ってしまうのです。わずかな勝算であっても、お金をかけてしまうからです。時にはギャンブルで全財産を失ってしまうギャンブラーもいます。

残念なことに、多くのトレーダー初心者がこのようなギャンブル感覚でトレードの世界に足を踏み入れています。彼らはトレードをスキルとして考えておらず、楽に素早く稼ぐための方法と考えています。また、経験豊富なトレーダーであっても、戦略を考えずに短時間で最大限の利益を得ようとするような考え方に陥ることがあります。衝動的な決断をしてしまい、利益を失い、時には口座が吹き飛んでしまうこともあります。

ギャンブル心理の実態

ギャンブル思考のトレーダーは、決まった行動をとります。

トレーディングを始める時に、必要なことに対して漠然とした理解しか持っていません。彼らは、戦略やパターン、テクニカル分析やファンダメンタル分析、経済ニュースや地政学がどのようにアセットの価格に影響を与えるかについて知らないのです。彼らにとっては、アセットを買って、価格が上がったら売るというのが一番簡単な儲け方なのです。この方法がうまくいって勝つこともあるので、トレードは直感的で予測可能なものだという考えが強まっていきます。

ギャンブル的なメンタリティを持つトレーダーは、利益が最大化するようにと、取引規模をどんどん大きくしていく傾向があります。しかし、1つのポジションで大量のアセットを取引することは、リスクと損失の可能性を増幅させるということを見落としています。

マーチンゲール戦略は、トレーディングにおけるギャンブル心理の典型的な例です。この戦略は、トレーダーが次の取引に投入する資金を2倍にすることで、前回の損失を回復する確率が50％になるという前提に基づいています。この取引がトレーダーに味方しない場合、戦略がうまくいって損失が回復するまで、取引資産の額を何度も何度も倍増させることになります。この一方的な鬼ごっこは長く続くこともあるので、トレーダーは損失を回復するよりも資金を使い果たす方が早いでしょう。

ギャンブルとトレーディングの違い

トレーディングにギャンブル心理が蔓延している主な理由は、トレーディングがメディアによってゲームとして描かれることが多いからです。人々は取引や投資を趣味や暇つぶしの副業として扱っています。多くの初心者は周りに合わせて、体裁を整えるためにやってみようと思うのです。トレードは、リサーチや準備に多くの時間とエネルギーを費やす必要があるため、そんなことでうまくいくはずがありません。

もちろん、ギャンブラーもトレーダーもオッズや確率を頼りにしています。しかし、両者の性質は大きく異なります。トレーダーは、トレーディングとギャンブルの違いを知るべきです。

コントロール

ギャンブラーは、努力したり考えたりする必要がありません。ただ賭けるだけなので、結果をコントロールすることができません。

この点で、トレーディングは異なります。トレーダーは、すべての取引にリスクがあり、損失を出す可能性があることを十分承知した上で、結果をある程度コントロールできます。ストップ注文を出したり、当初の予定より早く取引を終了させることで、損失を抑えることができるためです。市場がより収益性の高い方向に動くのを待つこともできます。トレーダーは、合理的に慎重に考えてから行動すれば、自分の取引をコントロールし、利益を左右することができるのです。

スキル

ギャンブラーが成功することもありますが、基本的には確率のゲームです。スキルや洞察力、知識は必要ありません。

一方、トレーダーは収益を最大化するために、高度なスキルや知性、市場の仕組みへの理解が必要です。取引に必要な情報をすべて学ぶには時間、労力、努力が必要です。その知識を実践できるようになるにはさらに努力が必要になってきます。

期待値

ギャンブラーが何度勝ったとしても、長期的に利益を得るのはカジノ側です。カジノは、ギャンブラーを勝たせることで、彼らが再び訪れて浪費するタイミングを知っています。この現象は負の期待値と呼ばれ、ギャンブラーの損失が常に稼ぎを上回ることを意味しています。

トレーディングでは、健全な戦略やリスク管理計画を立てれば、正の期待値に到達することは大いに可能です。トレードを仕事にできているトレーダーは非常に多く、彼らはトレードの利益で安定した収入を得ています。

ギャンブル心理の負の側面

オーバートレード：オーバートレードもまた、ギャンブル心理が引き起こす行動の一つです。利益を重視するあまり、よく考えずにたくさん取引を行ってしまうことです。これらの取引に投資した資金を失う危険性があります。彼らは通常、多くの取引を抱えすぎて、より多くの損失を出してしまいます。
衝動的な決断：ギャンブル心理は、合理的な思考を放棄させます。彼らはできるだけ早く稼ぎたいので、トレーディングの勉強に時間を使いません。この衝動性が、より多くの損失をもたらすでしょう。
戦略やリスクマネジメントの欠如：ギャンブル思考のトレーダーは、しっかりとした戦略を構築することは無駄であると考えています。 1回の取引でできるだけ多くのお金を手に入れたいと考えています。彼らは、各取引から大きな利益を得ることを望んで、テイクプロフィットまたはストップオーダーを設定することはありません。この不規則な行動が実を結ぶことはありません。
損失を追いかける：トレーダーはそれまでの損失を取り戻そうと、より多くの取引を行うようになります。しかし、戦略やリサーチが足りないため、失敗する可能性が高くなるばかりです。

ギャンブル心理の克服方法

ギャンブル心理は、金融市場の仕組みについて理解が乏しい新人トレーダーに大きな影響を与えます。したがって、一般的な戦略やパターン、リスク管理ツールなどについて勉強することが最良の克服方法です。また、一度にすべてを学ぼうとするのではなく、興味のある分野（FX、株、暗号）に絞って、スキルアップすることも非常に有効です。自分の感情をどう向き合うかや、正しいトレーダー心理のヒントが書かれたチュートリアルやリソースがたくさんあります。また、少額で取引の練習をすることで、実際の市場の動きを理解することができます。十分な知識があれば、自分自身の戦略を構築し、取引を安定させ、利益を上げるためのリスク管理計画を立てることができます。

まとめ

ギャンブル心理は、トレーダーが衝動的で不合理な決定を下す原因となるため、危険な精神状態です。それを避けるためには、トレーダーは取引戦略を構築し、より多くの、あるいはより大きなポジションを取引したいという衝動に駆られても、それを貫く必要があります。トレーディングはギャンブルではないので、安定した利益を確保するためには、念入りなリサーチ、集中力、献身的な努力が必要です。