経済カレンダーと通貨への影響

経済カレンダーは、外国為替のファンダメンタル分析の基本要素の一つです。 通貨ペアのダイナミクスは、毎日掲載される経済ニュースに依存します。 各通貨は様々なイベントの影響を受けます。 市場の変化に備えるためには、最も重要なものを知るべきです。

米ドル（USD）の経済カレンダー

米国通貨市場の月は、経済的健康に関する2つの最も重要な指標の発表から始まります：供給管理研究所 (The Institute of Supply Management、ISM) が1ヵ月前との比較して発表する製造業PMIと非製造業PMIです。

また、毎月第一週に重要な非農業部門雇用者数（NFP）が発表されます。 この指標は、米国の就業者変化数の前月比を反映します。 実際のNFPの指数は予想の指数と異なる場合があり、そのため米ドルの大きな変動につながります。公式のNFP、失業率、平均時給は、通常、毎月第1金曜日に発表されます。 NFPだけでなく、以上のすべての指標に注目する必要があります。 予想よりも低い失業率の数値が米ドルにポジティブと見なされますので、注意してください。

毎月中旬に発表されるインフレの指標にも注目する必要があります – 生産者物価指数(PPI) と消費者物価指数（CPI）。 ほぼ同時に、小売売上高とコア小売売上高が発表されます。 2つの指標の違いは、コア小売売上高が変動の厳しい自動車を除くことです。 小売売上高の増加が大きければ大きいほど、経済成長率は高くなります。   

そして、毎月中旬に2つの製造指数が発表されます：ニューヨーク連邦準備制度理事会（FRB）のEmpire State製造指数とフィラデルフィア連銀製造業景況指数。

毎月最終火曜日に消費者信頼感指数が発表されます。 消費者信頼感指数の高まりは、消費者がより多くを消費する意味があります。これは米国の経済成長と生産の増加につながります。 

原油備蓄量の変化は毎週発行され、米ドルの値動きにも影響します。 

四半期別GDPは、3つの速報段階で報告されています：１次（Advance Estimates、最も早い）、2次（Preliminary Estimates）、３次（Final Estimates）。 それぞれに１ヵ月の違いがあります。 1次速報値は通貨市場にとって最も重要です。 四半期別GDPの1次速報値は、四半期が終わった30日後に発行されます。

以下には、米ドルに大きな影響を与える非毎月イベントの一部を紹介します。

• FOMC会合と記者会見。 FOMCとは「連邦公開市場委員会」と訳される、米国の中央銀行に相当する連邦準備制度理事会（FRB）の統治構造を表しています。 FOMCは年8回開催され、各会合でフェデラルファンド（Ff）レートを発表します。 定期的な記者会見は、3月、6月、9月、12月に行われます。 通常、中央銀行は記者会見を開催される会合で最も重要な発表を行います。

米国大統領、連邦準備制度理事会議長、連邦準備銀行の議長の演説。

ユーロ（EUR）の経済カレンダー

ユーロ圏は、ユーロを導入している諸国で形成される経済圏であるため、トレーダーはユーロ圏だけでなく、加盟諸国の行事にも注意を払う必要があります。 最も重要な役割は、その地域で最も強力で最大の経済を持っているドイツにあります。 市場は、ドイツ連邦銀行総裁（ドイツ中央銀行）のスピーチに注意を払います。 スピーチのスケジュールは中央銀行の公式ウェブサイト上に掲示します。

ZEWの欧州連合景況感指標は、毎月第2または第3火曜日に発表されます。 

毎月第三週は、ユーロ圏の製造業PMI速報値とサービス業PMI速報値の発表のため重要です。 これらの指標は、ドイツとフランスでも発表されています。 ドイツのIfo景況感指数はほぼ同時に発表されます。

月末には、ドイツ、スペイン、フランス、イタリア、ユーロ圏全体のCPI速報値が含まれています。 ユーロ圏内のマネーサプライのレベルは、月末から28日後に公表されています。 月の最終就業日は、ユーロ圏失業率が発表される日です。

ユーロ圏のGDP成長率は四半期ごとに発表されています。 GDP成長率の発表には、種類が3つあります：１次（preliminary flash）、2次（flash）、３次（revised）。 最も重要なのは早期に公表されるGDPの1次速報値です。これは四半期が終わった約30日後に発行されます。

ユーロに影響を与えられる不定期のイベントは次のとおりです：

• 欧州中央銀行（ECB）の会合と記者会見は８月間に1回行われます。ECBは公的市場介入金利である最低応札金利（リファイナンス金利）を設定しています。 各会合がECBの公式ウェブサイトで放送されています。 この間、ユーロの変動は厳しくなります。
• ECB総裁の演説。
• ECB金融政策決定会合の議事要旨（年間8回、会合の4週間後に公表）。
• 欧州連合（EU）経済サミット。

欧州連合は年に3回地域の最新の経済見通しを公表します。

英ポンド（GBP）の経済カレンダー

英国の最初の3営業日は、製造業PMI、建設業PMI、サービスPMIが発表される日です。 以上の指数は、数百人の購買担当者に送付されたアンケートへの回答から収集されたデータに基づいており、英国の経済状況に関する最も速いデータを表しています。

英国の事業投資、GDP予測、製造業生産高は、通常、毎月の10^日〜11^日（月末から40日後）に発表されます。

少し後（月末から約45日後）、英国家統計局が平均取得と失業率を発表します。

消費者物価指数（CPI）、生産者物価指数（PPI）、小売物価指数（RPI）は、月末から14日～16日後に発行されます。 報告月に失業給付を請求している人の数の変化を示す請求者数の変更（Claimant Count Change）も、この期間に発表されます。

小売売上高の変化は、月末から約20日後に発表されます。 その後、月末から約22日〜23日後に公共部門純借入額に注目する必要があります。

イングランド銀行の政策金利は、毎月発表されます。 金融政策委員会（MPC）の9人の委員は、イングランド銀行（BOE）が政策金利を引き下げるか引き上げるか、または据え置く必要があるかについて投票します。 会合の議事録は、金利決定とともに掲載されています。 同時に、BOEは資産購入ファシリティを公表します。

輸出入商品とサービスの差額、住民の純要素収入 、および英国移民への譲渡純額 (外国からの献金など) を反映する値（経常収支 ）は、四半期ごとに、月末から約85日後に公表します。 また、イングランド銀行（BOE）は四半期に一度「インフレ報告」を公表し、その後、インフレ報告」が英国議会で議論されています。

月次の国内総生産（GDP）は、月末から約40日後に公表されます。 貸出状況調査は各四半期の終わりに発行されます。

固定予定がないが、英ポンドにとって重要なイベント：

• BOE総裁とMPC委員の演説
• イギリス首相の演説
• BOEのストレステストの結果

BOEの金融安定性報告書は、年2回発表されます。

日本円（JPY）の経済カレンダー

現金給与総額の指標は、月の上旬・中旬（月末から約35日後）に発表されます。この指標は、1人の常勤従業員あたりの平均所得（税金は含まれていない）の変化を反映しています。 貿易収支は、月末から約20日後に公表されます。

通常、毎月第3金曜日には国のインフレデータ（コアCPI）は公表されます。 これは、日本銀行（BOJ）の政策に影響を与える重要な指標です。 次に、PPIは12^日～12^日に発表されます。 東京都区部のコアCPIは指定された月のインフレレベルを反映しており、全国のコアCPIは前月のデータを示しています。 さらに、小売売上高、失業率、工業生産指数は、月末（前月末から約27日〜30日後）に発表されます。

日本銀行（BOJ）の会合のスケジュールは、当行の公式ウェブサイトをご覧ください。 日本銀行の会合は年8回開催されます。通常、会合終了後直ちにBOJの記者会見を開き、金利決定内容を公表します。

不定期のイベントには、日本銀行総裁の演説も含まれます。

豪ドル（AUD）の経済カレンダー

1月を除く毎月第1火曜日にはオーストラリア準備銀行（RBA）が政策金利を発表します。 RBAは、オフィシャルキャッシュレート（豪・豪中銀政策金利 ）を発表し、経済の主な課題について説明します。 RBA会議議事録は、各会合の2週間後に発行され、Rba理事会の説明を通貨政策の決定に提供します。

失業率と雇用変化に関する情報は、月末から約14日〜16日後に公表されます。 ほぼ同時にナショナルオーストラリア銀行（NAB）が企業景況感指数を発行します。

月の5^日ごろ（月末35日後）に小売売上高、貿易収支、AIG建設業指数が発表されます。 

各四半期の25^日後に発表されるインフレ率と55^日後に発表される オーストラリア民間資本支出にも注目してください。 GDP成長率は、各四半期の65日後に公表されます。

主な不定期のイベント：

• RBA総裁と関係者の演説
• 半期経済財政見通し（12月中旬）
• 年度予算案（5月中旬）

NZドル（NZD）の経済カレンダー

ニュージーランドの重要なデータのほとんどは、四半期ごとに発表されます。 四半期終了後の第1火曜日または第2火曜日には、NZIER企業信頼感指数が発表されます。 その18日後、消費者物価指数（CPI）が発表されます。 四半期の15^日～16^日後に小売売上高の指数が公表されます。 NZのインフレ期待は、四半期終了の50日〜55日前に発表されます。

毎月発行される重要な経済指標としては、ビジネスNZの製造業PMI（月末から13日〜16日後）や貿易収支（月末から26日〜30日後）、ANZ企業信頼感指数（1月を除く月末）があります。 ニュージーランドのオークションで取引される乳製品の加重平均にもとづいた乳製品価格の変化を表す情報（GDT価格インデックス）は、月2回公表されます。 GDP成長率は、四半期ごとに、四半期の約75日後にに発表されます。

ニュージーランド準備銀行（RBNZ）の会合は、毎月ではなく年8回しか行われません。 RBNZの政策金利発表後、RBNZ総裁の演説と記者会見が行われます。 この会合の議事録は公表されていません。

年2回（11月・5月）、主な経済指標に関するRBNZの予測を含む金融安定性報告書は公表されます。

人民元（CNY）の経済カレンダー

（オーストラリアとニュージーランドが中国と深い貿易関係を持っているため、このデータは豪ドルとNZドルに影響を与えます）

中国貿易収支は、8^日～10^日に公表されます。 ほぼ同時に消費者物価指数が発表されます。 2月を除く14日〜16日ごろには、鉱工業生産および固定資産投資が発表されます。

月末日に製造業PMIおよび非製造業PMIが公表されます。 月の第3営業^日には、Caixinサービス購買担当者景気指数（PMI）が発行されます。 この指数は、より非公式であり、ある人によると、中国製造業の経済健全性をより正確に測ります。 そのために、多くのトレーダーが公式指数について懐疑的な態度を取り、CaixinサービスPMIの方を選びます。

GDP成長率は、おそらく最も期待される中国の指標です。 この指数は、各四半期の18日後に公表されます。

加ドル（CAD）の経済カレンダー

カナダの取引月は、貿易収支（月末から約35日後）および雇用変化（月末から約8日後）の公表で始まります。  さらに、アイヴィビジネススクールによって計算されたアイヴィ購買管理者指数 （Pmi）に注意を払うことをお勧めします。この指数は経済状況を反映しています。

月半ばにカナダ外国証券購入（月末から約50日後）、工業売上高（月末から約45日後）、消費者物価指数（月末から約20日後）は発表されます。 

月末には、GDP （前月比）（前月末から約60日後）および小売売上高（月末から約50日後）は発表されます。

四半期ごとに発表される指数としては、労働生産性（四半期の約65日後）、カナダ銀行（BOC）のビジネス見通し調査と金融政策レポートなどがあります。

BoC金利決定は年8回発表されます。  これには、主要金利と中央銀行の経済見通しに関する決定が含まれています。

ある経済事象は目立ったニュース、意思決定、議論などを含まれるため、同時にすべての通貨に影響を与えることができます。 トレーダーには、これらのイベントに大いに注意を払って従うことをお勧めします。

イベントの一例：

• 世界経済フォーラム（通常1月に開催）
• 石油輸出国機構（OPEC）と共同閣僚監視委員会（JMMC）の会合
• G20サミット
• G7サミット
• ジャクソンホール会議（通常8月に開催）
• 国際通貨基金（IMF）の会合

Author: FBS Analyst Team

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